女将さんのオススメ
自然とは、人間の手でつくろうと思ってつくりだせるものではありません。石の重なり方、坂の角度、道のでこぼこ加減など、自然の力によって偶然に生まれた風景は大変魅力的です。ここに人間の手を加わえてしまうと魅力を損ねてしまいます。一方、加わることで、魅力が増すものもあります。それは、四季や時間、天気などです。
春夏秋冬、朝夕、晴雨、湿度などの違いが、思いがけない魅力を生み出します。ここ十和田湖や奥入瀬渓流も例外ではなく、自然を取り巻く『状況』の変化によって、いつもの風景がガラリと表情を変えます。そして楽しむポイントも変わってきます。散策の際は、そういった表情を感じながら歩くのもよいものです。
奥入瀬渓流の四季
春
春といえば新緑。若葉の緑、深みのある苔の緑、様々な緑が調和している様子は、まるで『緑の協奏曲』のようです。ところどころに咲く赤やピンクのつつじは、程よいアクセントとなっています。
また、雨上がりの新緑は緑が濃く、不思議な魅力を生み出します。霧が立ち込めるような日は、あたり一面が神秘的な雰囲気となり、写真でよく見る風景との違いに驚くことでしょう。雨天での散策は気分がのりにくそうに思えるかもしれませんが、いつもとは一味違う新緑の表情を楽しむことができるため、お勧めです。
夏
夏の渓流で特に楽しんでほしいのは『涼感』です。滝や流れに近づくと、ミストのような水しぶきを感じることができます。夏の木陰と水しぶきは自然からの最高の贈り物です。
秋
秋、渓流を盛り上げてくれるのが紅葉です。ブナ、カツラ、トチなどの黄と、カエデやモミジの赤が、トンネルのように頭上を覆います。1年の中でも紅葉の期間は短く、奥入瀬渓流では10月上旬から11月上旬の1ヶ月程度です。
夏は暑く、秋は晴れの日が多く夜の気温が低いような年は、赤が美しい紅葉になります。今年と同じ紅葉を二度と見ることはありません。毎年、奥入瀬の紅葉を見に訪れるファンも多いようです。
冬
意外な美しい光景を見せてくれるのが冬です。雨雪が木にくっつく様子は、綿の花が咲いているようです。春夏の快活なイメージの新緑とは打って変わり、穏やかで物静かな魅力にあふれます。また、凍てつく寒さの中、滝は見事なつららとなります。家の軒先に下がるつららとは違い、青みがかって(青磁色)神秘的な様相になります。
※奥入瀬渓流以外では、樹海ライン(秋田県大館市へ向かう県道2号線)も美しいです。
朝日と夕日
湖面に輝く朝日や夕日は、言葉には出来ない美しさです。日の光が波紋に照り、真昼の湖とはひと味違います。特に、子ノ口から望む十和田湖、展望台から望む十和田湖の朝夕の眺めは最高です。
十和田湖を囲む展望台
- ・紫明亭展望台
- ・発荷峠展望台
- ・瞰湖台展望台
- ・御鼻部山展望台
- ・滝ノ沢展望台
- ・白雲亭展望台
- ・甲岳台展望台