湖に沈む陸軍練習機
『戦時中である昭和18年9月27日、十和田湖に陸軍機が墜落した。』
墜落したのは、北部第74部隊の練習機・一式双発高等練習機。
搭乗者は少年兵3名、整備兵1名。
内、救助されたのは少年兵1名のみ。
救助者は金村末吉。
(春治(春山荘の”おじいちゃん”)の父親)
目撃者の証言によると、
「東側の寺の上空に、飛行機が現れた。何かおかしいと思っていると、山陰に消えてしまった。」
その後、その地域の人が
「飛行機が墜落した」と騒いだ、とのことでした。
金村末吉は、急いで現場へ駆けつけ少年兵1名を帯で以て背負い、助けました。
少年兵は気を失っていましたが、頬を叩いたら意識を取り戻したといいます。
金村末吉は翌10月召集され、戦死。
北部第74部隊は、八戸市を本拠地とする、重爆撃機の操縦者を実用機を使って訓練する部隊。
墜落した一式双発高等練習機は、当時の陸軍の傑作でした。
十和田湖で最も深い中湖(なかのうみ)に今も沈んでいるということです。
そして2010年8月11日、
東大生産技術研究所海中工学国際研究センターの浅田昭教授と
海洋調査会社「ウインディーネットワーク」(静岡市)の湖底の地形調査により、
十和田湖の湖底より飛行機のようなものが発見されたそうです。
ほぼ原形をとどめ、エンジン部分や機種の他、
日の丸のマークなども確認できたことから、昭和18年に沈んだ陸軍練習機である可能性が高いとみられています。
2012年9月5日。ついにこの日を向かえました。
湖底に沈む北部第74部隊の練習機・一式双発高等練習機が約70年ぶりに姿を現したのです。
主翼と胴体に日の丸を抱いたその機体は、十和田湖が淡水だったこともあり、ほぼ原型をとどめていました。
まるで、あの頃の出来事を静かに語っているようにも見えますね。